私が日本国籍を絶対に手放さない理由
.
かつて私は16年間、シンガポールに住んでいた。
.
.
在住1年目には永住権を取得して、その後もずっと保持し続けてきたから、実は今も永住権保持者なんだよね。
.
シンガポールの永住権は基本的に、将来的には市民権(国籍)を獲得してシンガポール人になりたいと思っている人向けの制度。
.
私も以前、「日本人で居続けるのか?」「いつか日本の国籍を放棄して、シンガポール人になるのか?」ということについて、真剣に悩んだことがある。
.
.
.
私、バツイチなんだよね。
.
シンガポール人と結婚していた時期が、10年ほどあった。
.
.
20代半ばで最初の結婚をした私。
.
今思うと、あんまり健全な結婚生活じゃなかったな。
.
お互いにたくさん傷つけあっているのに、だからといって別々の人生をスタートする勇気もないまま、ズルズルと一緒に居続けてしまった。
.
何年もかけてなんとか離婚を成立させたけど、その頃には満身創痍だった。
.
.
でも、人生は、続いていく。
.
.
離婚をしたことで私は、このままシンガポールに暮らし続けるか、それとも他の国へ行くか、真剣に決めなければいけない岐路に立たされたんだ。
.
.
確かにシンガポールは大好き。
.
でももし一生を、世界一生活費が高いとも言われるこの国で生きていくのであれば、かなり戦略的に人生設計していく必要がある。
.
その中で最もキーポイントになるのが、公営住宅を購入するかどうか?という点だった。
.
.
シンガポールの公営住宅は、厳しい購入制限はあれど、一般のマンションに比べれば4分の1くらいの値段で購入できるようになっている。
.
同じような立地&間取りの一般住宅が2億円くらいで販売されているとすれば、公営住宅なら大体5千万円くらいで購入できてしまうイメージね。
.
しかも今までの歴史上、公営住宅の価格は上がり続けていて、どんなに古くなっても売却時には購入した時より高く売却することが期待できるという、とても有難い仕組みなんだ。
.
.
でも、単身で公営住宅を購入できるのはシンガポール国籍の人のみ。
.
.
うう~ん、シンガポール国籍を取得かぁ…
.
日本は二重国籍を認めていないから、シンガポール国籍を取得すると、日本人じゃなくなっちゃうんだよなぁ…
.
.
そんな風に考えていた頃、ダメ押しのように、政府がめちゃくちゃ魅力的な制度を発表したんだ。
.
.
55歳以上だったかな?
.
それくらいの年齢の国民を対象にした制度で、公営住宅を45年分とか、30年分とか、短い期間の利用権として格安販売しますよというもの。
.
しかも政府はこれからこの制度向けに、単身世帯に適した小さめの物件をどんどん建てていくってことが発表されたんだ。
.
.
一般のマンションなら、99年の利用権として販売された場合でも、ワンルームで1億円くらいはする。
.
でもこの制度を使えば、1千万円ちょっとで、終の棲家が手に入る計算になる。
.
.
あ、めっちゃイイじゃん……!
.
.
そう思ったゲンキンな私は、将来的に日本国籍を手放してシンガポール人になるべきかどうか、けっこう本気で悩み始めたんだ。
.
日本の両親はもう鬼籍に入ってるし、帰るべき実家があるわけでもない。
.
気が付けばシンガポールはいつの間にか、自分が人生で一番長く住んだ街になっていて。
.
このままシンガポール人として居ついてしまうことも、ある意味自然な選択なのかもしれないとまで思えてきたんだよね。
.
.
でも。
.
私は、自分でも想像だにしていなかった理由で、日本人でい続けることを選択した。
.
.
.
きっかけは、ネットで見た、真偽不明の情報なんだけど。
.
天皇陛下のデイリールーティンには、「日本国民全員の幸せを祈ること」が入ってる、っていうのをどこかで見たんだよね。
.
その瞬間、思いがけず涙が出てきた。
.
.
「ああ…
.
両親が亡くなって、離婚もして、私の幸せを真剣に祈ってくれてる人なんてもういないと思ってたけど。
.
毎日私の幸せを祈ってくれる人が、まだ一人だけいたんだなぁ…」
.
.
そう、あの時私は、自分が天涯孤独のような気がしていたんだ。
.
日本にはどこにも帰るところがないまま、頼みの綱だった海外の家族も解散になって、ちょうどその頃経営してた会社も廃業したりしてて、おまけに親しい友人もみんなシンガポールを離れてて……
.
.
大海原の中でたった一人、漂流し続けているような気分だったんだ、本当は。
.
.
私その時まで、愛国精神とか、あんまり感じたことがない人だったんだけどね。
.
日本のパスポートを持っている、
.
つまり日本人で居続けるということは、
.
少なくとも世界中で一人だけは何があっても毎日、
.
自分の幸せを祈ってくれる人がいるってことなんだな……
.
って、理解した途端。
.
まるで見えない支えを得たかのように、力が湧いてきたんだよね。
.
.
だったらこのパスポート、絶対なくしちゃいけない。
.
絶対なくしたくない!って、強く思った。
.
.
これは、二重国籍が認められていない日本人ならではのエピソードで。
.
二重国籍が認められているブラジル人である私の夫なんかは、もう少ししたらスペイン国籍を申請する予定みたい。
.
私も、確かにパスポートを2つ持てたら、便利だろうなとは思う。
.
.
でも私は、ひとつしか選べない以上、日本人でいたい。
.
というか、ひとつしか選べなくても、ずっと日本人でいたい。
.
.
そして、毎日遠くで私の幸せを祈ってくれる人がいる国に、ちゃんと報いる生き方をしたいと思う。
.
今日も日本人でいさせてくれて、本当にありがとうね、日本。
.
.
.
.
.
.

アヤさんこんばんは。
Xで見かけて、substackのリンクを発見してこちらの記事を読みました。
同じ日本人として嬉しい決断です!
今年は皇紀2686年。歴史上最も長い国家なのは、やはり天皇という存在があってなんでしょうね。
海外からの視点は良い気付きを与えてくれるので、これからの記事も楽しみにしてます😊
アヤさん初めまして!自分もあやさんと同じく海外生活約20年以上のものです。自分もアヤさんと同じように日本国籍を捨てることで悩んでいた時期があったので、とても共感できましたし、こんな悩みを持つのは自分だけじゃないと勇気づけられました。ありがとうございます♪